第1回レポート:詳細版

第1回オリエン&エコビレッジ概論 レポート  林 悦子(第2期EDE運営委員)

2010年9月18日に、1年以上の準備期間を経て、待望の第2期EDEの初回(第1回オリエンテーション&エコビレッジ概論)が午後1時半から始まりました。
20代から60代まで幅広い年齢層の参加者21名が、電車や車でアジア学院の那須セミナーハウスに集いました。
NGOやNPOで環境活動や地域で活動している人、地域総合プロデュース、国家公務員、大学教員、会社員、コーチング、有機農業の実践者、など参加者の職種も多様で、多才な顔ぶれとなっています。
 
 
以下、写真を交えて開催の様子をレポートします。
 
【初日(9/18)のプログラム】
・オリエンテーションⅠ
・オリエンテーションⅡ
・カリキュラム1「あなたにとってコミュニティとは」
 「今までのコミュニティ体験とそこで学んだこと」
 「コミュニティのさまざま軸」
 「どういうエコビレッジ/コミュニティを実現したいのか」
・夕食
・コミュニティタイム
 
 
 
●最初のオリエンテーションⅠは、スタッフ、アジア学院スタッフの挨拶から始まり、大きな1つの輪になって、参加者、スタッフと講師が1分ずつ自己紹介『名前とニックネーム、出身地、今情熱を持っていること』をした後、今回(第1回)のプログラム概要の説明や生活・施設使用案内など事務連絡がありました。 
 
 
続けて、参加者の主体的なコミュニテイづくりを促すということで、4,5人のチームに分かれ、5つのテーマで役割分担を決めてもらいました。
・チーム1:時間・空間(掃除)の管理
・チーム2:記録と前日に学んだことのまとめ(報告)
・チーム3:心のケア(参加者の様子を観察して感じたことを報告)
・チーム4:伝え方の観察
 (講師やファシリテーターの伝え方のプロセスについて感じたことを報告)
・チーム5:配膳+床・テーブルふき
各チームの名前も、時間の管理担当はクラッシックの曲名「鐘」を文字って「カンパネラ」、記録・まとめ担当は「チームかきかき」、心のケアは「ドキドキ」など、ユニークな名前が勢ぞろい!
 
 
●次のプログラム、オリエンテーションⅡでは、EDEにおける学びやエコビレッジ・デザインなどEDEの概要説明の後、「EDEに期待すること」を役割分担のチームに分かれて話合うグループワークに移りました。
チームごとに一人ずつポストイットに一枚一項目で書き、似ているもの同士を近くにまとめて模造紙に張り付けて、仲間を見つけグルーピングした後、題目をつけるという作業をしました。 
 
 
EDEに期待する題目として、
・「自然と共に生きる生き方、シンプルライフ」
・「農と食」
・「エコビレッジの現状、エコビレッジの成功事例と失敗事例」
・「エコビレッジの新たな発見」
・「エコビレッジの役割、体系」「理論」
・「地域活性による日本文化の復活、都市と農村を活性化する実践」
・「日本の社会におけるエコビレッジの在り方やポテンシャル」
・「エコビレッジ立ち上げ時の資金調達、土地探しなど運営面」
・「人間関係、新しいつながりやコミュニケーション技術
 (物質的循環だけでなく精神的循環も含めて)」
・「参加者同士の目標・行動の支え合い」
・「リアルな仲間や組織・ネットワークづくり」
・「社会的起業」
・「エコビレッジを知るための教育」
など様々なキーワードがあがってきました。
エコビレッジのいいところだけでなく失敗例も知りたい、日本に合ったエコビレッジの可能性を知りたい、資金や土地探しなどエコビレッジの具体的なつくり方など、これからのエコビレッジづくりに考えていきたい意見が沢山出されました。
 
●休憩をはさんで、カリキュラム1では、「あなたにとってコミュニティとは」というワークをしました。
1.最初に、「今までのコミュニティ体験とそこで学んだこと」について質問項目に一人ずつ考えて記入してもらった後、2人のペアで共有しました。ここでいうコミュニティとは、小さいころ育った団地や学校、会社での人と人のつながりでもいいし、過去を振り返って自分の体験した人とのつながりについて話合ってもらいました。
ワーク中は、「共同体」「学校」「会社、NPO」「結婚のパートナー」「団地、マンション生活」「旅行の仲間」「趣味やクラブ」「消防団」「教会」「子供会」「お母さんのネットワーク」・・・と、今までの自分の人生を回顧しながら、様々な社会環境の中でのコミュニテイ体験を経て、今自分はどの時点に居るのか、どこに行こうとしているのか考える機会になったのではないでしょうか。
 その後、みんなでシェアしましたが、「価値観の合わないコミュニテイに入ったときはつまらなかった」や、「海外、日本での生活を経て、住んでいたところを離れることに悲しみはない、コミュニテイには執着心はない」という意見もありました。
 
2.個人ワークの後は、コミュニティのさまざま軸「ヴィジョンあり/なし」「現場あり/なし」「新しくつくるコミュニテイ/既存のコミュニテイ」「農村/都市」で、志向する軸に立ってもらう人間マップをつくりました。 
 

「ヴィジョンあり/なし」では全体にバラけた感じで、「現場あり/なし」では2極に分かれ、現場ありが2/3ぐらいと多かった感じです。
「新しくつくるコミュニテイ/既存のコミュニテイ」の軸も全体にバラけていましたが、若干、新しくつくるコミュニテイの方が多い感じでした。既存のコミュニテイ派では、「年もとってきていて地元地域を活性化していきたい」「両親も亡くなって地域を再構築していきたい」という声もありました。
「農村/都市」の軸では、都市は少数派でしたが、「ビジョンも現場もなく、ひとつの価値観でなく、いろんな価値観を受け入れるコミュニテイを、いろいろな人たちに広めたい」「今は都市に住んでいて仕事もしているので自分のいる環境からはじめたい」「自然も好きだが、今都市に住んでいて友人もいるので、近い目標としてエコビレッジと呼んでいないところでも取り組んでいきたい」
 
3.最後に3人一組になって、「どういうエコビレッジ/コミュニティを実現したいのか」「そこで何を期待しているのか」について、「新しくつくるコミュニテイ/既存のコミュニテイ」と「農村/都市」の4軸(マトリックス)の中でどこを志向するのかも含めて話合ってもらい、発表しました。

 
既存のコミュニテイ・農村のグループでは、
・「ひとり一人の能力を活かし合える、次世代につなげていく安心、安全な暮らし」
・「安全でおいしい食、農業」等々
 
既存のコミュニテイ・都市のグループでは、
「仕事のあるところで、みんなが幸福になれる、高い受容性のあるコミュニテイを実現したい」
 
新しくつくるコミュニテイ・農村を志向するグループでは、
「第2の故郷として田舎の魅力をアピールしたい」というのや、中間軸にあるグループもあって、「共有、精神性を大事にして、4つの軸を混合していきたい」という発表もありました。
 
最後の質疑応答タイムでは、「どのレベル(大規模、小規模)のコミュニテイを言っているのか?」「これから先のプログラムでは個人で、グループでデザインするのか?」という質問が出されました。
 
●夕食後の参加者のコミュニテイづくりの時間(コミュニテイタイム)では輪になって、
1.EDEに参加するにあたって、受付で各参加者に書いてもらったメッセージカードを引いてもらって、インスピレーションを得たこと、感じたことをその場で一言話をすることしてもらいました。
 
 
その後で、参加者(スタッフも交じって)同士の交流を深めるきっかけづくりとして、2.「私のお気に入りリスト」を、目の合った人と見せ合い、共通点を探して、ポイントを合計するワークをしました。
最後に、3.「最大化したいこと(快適にするもの)、最小化したいこと(なくなってほしいもの)」をみんなで話し合って決めるワークをしましたが、「EDEを疑似コミュニテイとして共有するには、まだお互い知る時間が必要」「何のためにこれを決めるのか、チームとしてならわかるが、コミュニテイとしての感覚はまだない」という声があり、次回以降へ保留することになりました。
 
【2日目(9/19)のプログラム】
・健康と癒し
・朝食
・カリキュラム2、古橋道代さんによる「エコビレッジの紹介と目指す未来」
・カリキュラム3、森良さんによる「地域におけるコミュニティづくり」
・昼食
・カリキュラム4、アジア学院キャンパスツアーと紹介
・カリキュラム5、コミュニティ・ビルディングのワークで、「画びょうのワーク」
・カリキュラム6、古橋道代さんの
  「エコビレッジをデザインするために大切なことは?」
・夕食
・夜のコミュニテイ・タイム、参加者の方からの「ハートtoハートのワーク」
 
●朝は三谷さんの「健康と癒し」の時間で始まりました。
2人ペアになって歩き方、腰痛のコミュニテイ・ヒーリングのワーク、とても気持ちよさそうでした。歩き方を意識することで体の疲れもとれるとのことで日常生活で実践していきたいですね。
 
 
●カリキュラム2では、古橋道代さんによる「エコビレッジの紹介と目指す未来」の講義でした。4分野(環境、経済、社会、世界観)に分けて、海外、日本のエコビレッジを事例紹介して頂きました。
 
 
1.エコビレッジに定義はない、ハードよりソフトが大事
2.メンバーをつなぎとめるグルー(シュタイナー、パーマカルチャーなど地形や自然(環境)、経済など)が大事。グルーは、メンバーがブレたときに立ち戻れる船のアンカーの役割。一人ひとりのメンバーでグルーを共有し、共有度が高いことが大事。共有度が低いと昔のメンバーも離れていってしまう。
3.人数の規模は最低5人。2人+3人で客観視できる。スペインの学者は50人の規模を提唱。
4.木の花ファミリーでは毎晩会合をしている。①報告、②心のシェア、③相談や提案、④連絡事項などの補足の4つを話合う。
5.健康観では心と体の健康が大事。
6.メンバーに不安であるのは信頼感がないから。消えていったと思われるコミュニテイもある。など・・事例を紹介しながら、エコビレッジに大事なポイントについてわかりやすい講義でした。
その後は質疑応答で、「グルーの具体的な内容について?」「ハード、ソフトに分けて考えると、どういうグルーがあるの?」などの質問がありました。
 
●カリキュラム3は、森良さんによる「地域におけるコミュニティづくり」の講義でした。
 
 
1.持続可能な地域とは?という問いから始まり、それにはFEC(F:フード、E:エネルギー、C:ケア(相互互助の仕組み、助け合い)の3つ)が必要であること、特に、ケアは、環境(共有地)、入会地、結いや講といったソフト面の仕組みが、豊かな人間関係をつくる。
日本には年間3万人もの自殺者がいて、ケア・ワーカーやソーシャルワーカーと連携してコミュニテイ・ワーカーの役割がこれから必要になってくること。
話を聞き、質問することは、ファシリテーターにとって大事な役割となる。
というお話があったあと、具体的な事例紹介に移りました。
2.豊島区のえんがわ会では、いろいろなNPOが交替で入ってイベントスペース貸し、フリーマーケットなどをして運営している。色川村では3割が移住者で、村の暮らしを学生が聞き取り調査をして本にまとめているなどのお話でした。
 
質疑応答では、「地域に入るコツ?」という質問がありました。色川村では事前に村長が村民に挨拶まわりにいってから調査に入ったとのこと。地域コミュニテイを存続するには、「誇りを回復すること」が一番大事。田舎で働き隊を応募したり、地域の自然資源でつくったもの(ほうきとか)を学校で使う、周辺の大学生を調査に募集するなどの工夫策があるというお話をしてもらいました。

他にも、「NPO えんがわ会の有償スタッフ(500円)はどう生計を立てているのか?」「既存のコミュニテイの取り組みは、エコビレッジの流れの中でどうつながりがあるのか?講義の事例にあったシステムをどう活かしていくか?」「どこで地域情報が得られるのか?過疎化した地域での窓口はどこ?」「地域に新しいコミュニテイをつくるときの留意点は?」など活発な質問が飛び交いました。

 森さんは「人をつなぎ地域を紡ぐ全体コーデイネーター」の役割を担っていて、地域のリサーチから始まり、地域からボランティアを集って、人と人とつなぐ場・きっかけをつくり、コーデイネートします。既存のコミュニテイでの問題解決の場をつくるには、公式ルートを使うのが秘訣ということでした。

日本でのEDEでは、新しくつくるコミュニテイだけでなく、既存のコミュニテイづくりも考えていくことに試みています。既存のコミュニテイをどう活性化するのか、EDEのノウハウをどう活かすのかもEDEの大きな柱となっています。
 
●カリキュラム5はコミュニティ・ビルディングのワークで、感覚を使った「画びょうのワーク」をしました。
 
 
このワークは、あっと驚くことに、床一面に画びょうがあって、そこを最初は4,5人で肩を組んで歩いて、2人ペアで1人は目隠ししながら1人が誘導して歩くという緊張感あふれるワークでした。ワークを体験して、「相手にゆだねることで安心感、信頼感を感じた」「誘導する方が難しかった」など感じたことをみんなでシェアすることができました。信頼感、パートナーシップ、思いやりを体で感じることで、これからのコミュニテイづくりにも活かしていくことができればと思います。 
 
通り抜けたあとの、最高の笑顔!!!
 
●体感ワークの後は、古橋道代さんの講義、カリキュラム6「エコビレッジをデザインするために大切なことは?」。
コミュニティの基盤づくりとビジョン(ダイアナ・クリスチャンの本参照)について、木の花ファミリーのメンバーとして体験を語ってもらいながら、
・共通の価値観(ビジョン)とコアグループづくり、多様性の受容
・コミュニケーションスキル、合意形成の手法習得、対立・軋轢への対応、非暴力コミュニケーションに焦点をあてた講義をして頂きました。
 コミュニテイの感覚を養っていくために大切なことは、ビジョン(グルー)を中核にして、共有することが最重要で、「食事を共にすること」「大まかなビジョン(方針)はあるが計画は立てない」「コミュニテイでの暮らしは磨き石と同じ(鏡の法則)」「持続可能な関係性づくりのためには同意事項(グランドルール)が大事」であることもキーとなることをお話されました。
 
●夜のコミュニテイ・タイムは、参加者の方からの「ハートtoハートのワーク」をグループに分かれてしました。
 
 
自分に投げかけてほしい言葉をみんなで言い合うワークで、終わった後も心にじ~んと響く、身も心も温かくなったワークでした。
 
 
★ワークのあとで、参加者の1人が感動を表現して踊ってくれました!!
 
夜はオフレコの交流タイム(飲み会)で、第1期EDE修了生のイタリアのエコビレッジの話などで盛り上がった様子。スタッフで参加できなかったのが残念!
 
【3日目(9/20)のプログラム】
・農作業
・朝食
・デザインタイム1、昨日の古橋道代さんの講義への質疑応答
・デザインタイム2、「作りたいコミュニティのエッセンスをたぐりよせるために」
・昼食
・デザインタイム3、「アクションプランづくり」
・振り返り
 
●朝は、隣の畑で農作業。途中雨が降ってきたにも関わらず、熱心にニンジンを抜く参加者に傘をさしていました。
 
 
●午前中のはじめの時間(デザインタイム1)は、昨日の古橋道代さんの講義への質疑応答タイム。「精神的な支柱とエコビレッジ」「グルーとビジョンの違い」「木の花ファミリーでの税金の仕組み」など、木の花ファミリーの暮らしについて質問が集中しました。
ビジョンについては「物事に対する柔軟性」「価値観を明確に文章化すること」が大事なことであること。EDE代表者(自称かまたん)からは、ヤマギシ会のビジョン「無固定前進」の話もあり、持続するためには固定されない開かれたものであることが大事な点となっています。この講義から、これからの日本におけるエコビレッジの将来像を、みんなで考えていきたいと思います。
質疑応答の後は、気分一転して、古橋さんによる、サークルダンスのワークを楽しみました。
  
●次のデザインタイム2では「作りたいコミュニティのエッセンスをたぐりよせるために」
質問用紙(自己認識を確認し深めるために+エコビレッジや持続可能なコミュニティのビジョンづくりのために)を、一人で書いてもらい、2人でペアになってシェアしました。終わったら、違う人とペアになって書いたことについて交代しながら深く聴き合いました。
一つ一つの質問項目にみんな真剣に取り組んでいる様子で、信条や人生観も含めてお互いに共有することができたのではないかと思います。
 
 
●昼食
昼食はこんな感じでした
 
 
食事風景
 
 
 
●デザインタイム3では「アクションプランづくり」を役割分担チームに分かれて考えてもらい、個人のアクション、チームでのアクションに分けて、参加者全体に提案しました。
「購入したエコビレッジの本を読む」「近々、オーガニックのお店で交流会を開く」「エコビレッジの報告会をする」・・など、活発なアクションプランが出されました。
 
ボケをかまして頭をかく鎌田氏
 
●振り返り
最後の3日間を通しての振り返りでは、「来てよかった」「同じ方向性の人に出会えてよかった」「この瞬間ここにくる人たちと出会えてよかった」「エコビレッジの概略がつかめた。いい仲間ばかり。」「EDEとは何か?について朝から晩までのスケジュールで盛りだくさんだった。人によってコミュニケーション方法もいろいろあることを知った」「精神面に意識が向くようになった」「自然の音が聞こえる環境で、五感をフル活用して学びも感じ取れた」「参加者全員の意見や背景を聞きたかった」「エコビレッジの失敗例では問題解決までやってほしかった」など、率直な気持ちを語ってくれました。
 クロージングは古橋さんによる、世界の言葉で歌う「平和の歌」を輪唱しました。心地よい言葉のエネルギーが体に響きわたりました。
 
 
●運営委員よりの一言
今回は、最初のオリエンテーションということで、3日間盛りだくさんのプログラムがあって、参加者のみなさんもオーバーヒート?していたと思います。そんな状況の中でも、積極的に自発的に質問や提案もして頂いて、参加者一人ひとりの高いモチベーションがEDEをより充実したものにする力強い推進力にもなっています。これから9カ月間、共に学びを楽しみ、共感し合うことで、成長へとつないでいけたらと思っています。次回もよろしくお願いします!!